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『殺人犯はそこにいる』
2026.07.16
- スタッフブログ
皆さんこんにちは、加藤です。
私は休日にふらっと駅の本屋やブックオフに入って、店内をぶらぶらするのが好きなんですが、そこでふと気になる本があったので購入しました。
清水潔さんの『殺人犯はそこにいる』です。
初めはフィクションのミステリー小説だと思っていましたが、全く違いました。
この本は、群馬県と栃木県の県境付近という狭い地域で、5人の少女が相次いで姿を消した事件を追ったノンフィクションです。その中には、のちに冤罪だったことが明らかになった「足利事件」も含まれています。
読み始める前は、未解決事件の真相に迫っていくミステリーのような本なのだと思っていました。しかし、読み進めるほどに感じたのは、犯人そのものへの恐怖以上に、警察や司法が一度出した結論を簡単には認め直そうとしないことへの恐ろしさでした。
間違いが起きること自体は、どんな組織でも完全には避けられないのかもしれません。ただ、間違いの可能性を示す証拠が出てきても、自分たちの捜査や判断を守ることが優先されてしまったら、被害はさらに大きくなります。
無実の人が犯人として長い時間を奪われる一方で、本当の犯人が捕まらないままになる。その間にも、被害者の家族は苦しみ続けます。
「事件を解決したことにする」のと、「本当に事件を解決する」のは、まったく違うのだと感じました。
また、特に心に残ったのは、著者である清水潔さんの取材に対する執念です。
警察でも検察でもない一人の記者が、過去の資料を調べ、現場を歩き、関係者への取材を重ねながら、捜査の矛盾を一つずつ明らかにしていきます。ここまで動けたのは、記者としての使命感だけではなく、「被害に遭った少女たちの事件を終わらせたい」という強い思いがあったからだと思います。
この本を読んで、ニュースや警察の発表を無条件に信じることの危うさについても考えさせられました。
もちろん、すべてを疑ってかかるべきだということではありません。ただ、権威のある組織が発表した内容であっても、それが必ず正しいとは限らない。「本当にそうなのか」と問い続ける人がいなければ、重大な間違いが見過ごされてしまうことがあります。
タイトルの『殺人犯はそこにいる』という言葉も、読み終えたあとでは非常に重く感じられました。
犯人がどこか遠くに逃げてしまったのではなく、手が届くかもしれない場所に存在している。それなのに、捜査機関の間違いや組織の都合によって真相にたどり着けない。その事実に、怒りとやるせなさを感じました。
読みやすい本ではありますが、気軽に「面白かった」と言うことはできません。
少女たちの命、遺族の苦しみ、冤罪によって奪われた人生。実際に起きた出来事だと思うと、ページをめくる手が何度も止まりました。
それでも、多くの人に読まれてほしい一冊です。
この本は単に犯人を追う物語ではありません。警察や司法、報道はどうあるべきなのか。そして私たちは、発表された情報をどのように受け止めるべきなのかを問いかけてくる本でした。
読み終えたあとに残ったのは、恐怖よりも強い怒りと、「この事件を忘れてはいけない」という気持ちでした。
長くなりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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